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Kさんの思い出

引っ越し前に住んでいた場所で、数回、ばったり会ってお茶するKさんとういう人がいました。
母より少し年下くらいのクリスチャンで、
一緒に牧師さんの家でやるミサに連れて行ってもらったりしました。
人の悩みを聞くボランティアもしているせいか、
私の話をよくきいてくれました。

Kさん自身が、60歳すぎて鬱になり、いろいろ回復方法を勉強したそうです。
私が毎回セッションの話をすると、少しずつ興味をもってくれました。

その中で、その人があんこが好き、と言うので
おはぎ、大福、あんみつ・・と私があんこの入っているものを
あげていきました。
すると、その人の顔が、ぱっと明るくなって
「あんみつ!」
と、あんみつにまつわるKさんのお父さんの話をしてくれました。

昔、Kさんの実のお母さんが亡くなり、継母が来て、
小学生だったKさんは継母になじまなかったそうです。
そんな中、お姉さんとKさんと、お父さんの3人で、よく喫茶店に行ったそうです。
オーダーしたのはいつもあんみつだった。
3人で、にこにこしながら、食べたそうです。

Kさんは、本当に嬉しそうに話してくれました。
まるで私も、その喫茶店にいるみたいな感じがしました。


引っ越し前、最後にお茶した時
Kさんはその話を「覚えてるわよ」とにやりと笑いました。
「私、父のことがずっと許せなかったの。
でも、あんみつのことを思い出して、ちょっと許せるようになったのよ。
ありがとうね。」
と言われました。

別れ際、その人が泣いていて、私も泣いてしまいました。
いつの間にか、抱き合いながら。

だれかと分かれる時に泣くなんて、私には初めてのことでした。
それからは、思い出のある場所に車で通りすがっただけで、何回か泣きました。
ちょっとそらぞらしく離れて見ているもう一人の自分を感じながら、
それでも泣いてみました。


今思うと、Kさんの思い出を共有できたことが、
私に少しだけ感情を取り戻させてくれたのかもしれないと
感じます。

喫茶店で、にこにこして娘たちを見ている優しいお父さん。
3人が、あんみつを食べながらつながっていた。
今思い出しても、あたたかい感じが流れてきます。
私も、Kさんにありがとうと、伝えたい。







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